1️⃣ 大前提:出口を決める「3つの指標」を押さえよう

築年数の話に入る前に、判断の軸となる3つの指標を覚えておいてほしい。

① 譲渡所得税の税率(所有期間で2倍変わる)
・所有期間5年未満(短期)→ 税率約39%
・所有期間5年以上(長期)→ 税率約20%
売却益が同じでも、5年を超えているかどうかで手取りが大きく変わる。
なお、所有期間の判定は売却した年の1月1日時点で行われるため注意が必要だ。

② 減価償却の終了(デッドクロスの引き金)
木造:法定耐用年数22年
RC(鉄筋コンクリート)造:法定耐用年数47年
減価償却が終わると経費計上できなくなり、帳簿上の利益が膨らんで税負担が急増する。これがデッドクロスの始まりだ。

③ デッドクロス(キャッシュフロー悪化の本命)
「減価償却費 < ローン元本返済額」になった状態。
帳簿上は黒字なのに、実際の手元資金は減っていく。気づきにくいが、放置すると深刻だ。

※ 減価償却・譲渡所得税の計算は物件の取得価格・購入時期・構造によって異なります。必ず税理士に確認の上、判断してください。

2️⃣ 築5年未満:焦って売らない。でも税率だけは頭に入れておく

築5年未満の物件は、基本的に売却より保有継続が合理的なケースが多い。
理由はシンプルで、売却益に対して約39%の短期譲渡所得税がかかるからだ。
利益が1,000万円出ても、約390万円が税金で持っていかれる。

ただし、こんな状況なら早期売却を検討する価値がある。
⚠️ 購入後すぐに大きな欠陥が発覚した
⚠️ 想定を大きく下回るキャッシュフローが続いている
⚠️ エリアの需要が急落している(人口流出・大型企業撤退など)

「損切り」は恥ずかしいことじゃない。
問題を先送りにするほど、傷が深くなる。

3️⃣ 築5〜10年:売却の「最初のゴールデンタイム」

築5年を超えた瞬間、譲渡所得税が約20%に下がる。
そして建物もまだ新しく、買い手もつきやすい。
入居率が高い状態であれば、高値売却が最も狙いやすいタイミングのひとつだ。
「まだ早い」と思うかもしれないが、売却は「売りたいとき」ではなく「売れるとき」に動くのが鉄則

このタイミングで売却を検討すべきサインはこちら:
含み益が出ており、エリアの不動産価格が高水準
他に有望な投資先や買い替え物件がある
ポートフォリオを組み替えて資産効率を上げたい

資産Naviで物件ごとの現在のキャッシュフローと含み益を確認してみよう。
「あれ、思ったより含み益が出てる」という発見があるかもしれない。

4️⃣ 築10〜20年:修繕費と減価償却を「数字」で見直す時期

このゾーンが一番判断が難しく、かつ最も重要な時期だ。

まず木造の場合、築10年を過ぎると大規模修繕の費用が本格的にかかり始める
給排水管・外壁・屋根・設備の更新など、修繕費がキャッシュフローを圧迫し始める。

また築20年前後で木造の減価償却が終わりに近づく
減価償却費が経費として使えなくなると、帳簿上の利益が増えて税負担が増大。これがデッドクロスの入口だ。

このタイミングでの判断基準:
今後5年以内に大規模修繕が見込まれる → 修繕前に売却検討
減価償却残年数があと3年以内 → 税負担増を前に売却検討
稼働率が高く、物件評価が落ちていない今が売り時のピーク

「まだ壊れていないから大丈夫」ではなく、「これから何の費用がかかるか」で判断するのが正しいアプローチだ。

5️⃣ 築20年以上:売却・建て替え・土地活用の三択を迫られる

木造であれば法定耐用年数(22年)を超え、金融機関の融資評価は建物にほぼつかなくなる。
つまり買い手がローンを組みにくくなり、売却価格は土地値に近づいていく

この段階での選択肢は大きく3つ。
① 売却(土地値ベースで)
建物価値はほぼゼロに近いが、立地が良け…

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